子供騙しのドルコスト平均法

 

 

みなさんは株の買い時ってどうやって判断していますか?

 

 

投資に興味を持った人なら一度は見たことがあるS&P500の長期のチャートです。

この右肩上がりのチャートを見て、米国株最強!長期積立で勝ち確定!てな具合で

投資の世界に足を踏み入れて来たのだと思います。

 

これは、ここ15年分ぐらいのチャートを月足で表示したものですが

普段見慣れないものが下の方にひょろひょろと伸びているのが見て取れると思います。

これらは移動平均線と言って一定期間の株価の終値の平均値を連ねたものです。

英語だとMoving Averageなので、MAと略します。

 

月足のチャートなので、30MAなら過去30か月の平均値の集まりです。

同様に50、100、200のMAを表示しています。

大分下げたと思える今の株価でも、長期目線で見ると過去30か月の平均まで

水準訂正された程度なんですよね。

 

株価は平均に回帰する習性があるので、上振れ下振れはいつかは水準訂正されます。

急落によって正されるのか、株価がグズグズ上がれない間に移動平均線が上がって

くるかたちで正されるのかは分かりませんが。

 

100MAにタッチしたのは2011年の終わりと、コロナショックの時ですが

こうやって見るとコロナの暴落騒ぎも、規律正しい水準訂正に過ぎなかったわけです。

この要領で行くと、遠くない将来50MAまでは引かされそうですね。

で、今後10年ぐらいの間に再度100MAまで接近する公算も高そうです。

 


どうでしょう、今の株価は割安に見えるでしょうか。

 

 

短期でトレードする人ならともかく、10年後を期待して揚々と買い向かいたくなる

水準と言えるでしょうか?

日頃、長期長期と言っている人は、本当に長期目線で俯瞰出来ているでしょうか。

冒頭のあいさつで、私が長期投資に弱気であった理由は株価は平均に回帰する

という習性を憂慮しているからなのです。

 

長期投資家を自負するなら、長期移動平均線から大きく上に乖離してる水準で貪欲に

買いを入れないほうがいいと思います。

短期の値動きだけ見て安く見えても、長期ではまだまだ安くないのですから。

これを知らずに無暗に買い集めていたら、ドルコスト平均法でもほとんどヘッジに

なりません。

 

遠い将来、200MAまで水準訂正されるシナリオもないとは言えないのです。

 

「そんなこと言ってたらいつまでたっても買えないじゃん!」

まあ、そうなんですけど、10年スパンで投資を考えている人なら100MAを

意識して投資をするのは理に適っていると思います。

 

 

 

以下、おまけ

 

先ほどお見せしたS&P500の月足チャートの100MAを伸ばして、10年後、20年後

どの程度の株価上昇が見込めるか、超~雑な作図で未来予測を試みます。

所詮お遊びなので適当に流し見ていただいて結構です

 

 

直近2年分の傾斜角度は超金融緩和バブルによってブーストされたもので

長期にこのモメンタムがずっと続くことは考えにくいので、その分差し引いて

作図しています。

200MAを使った方のシナリオは悲惨なので度外視するとして、100MAのシナリオ

でも10年後も2021年の株価に届かない可能性が出てきそうで悲しいですね。


20年後で6700ポイント辺りにまで達するようで、これは今の株価を4000として

68%ほどの上昇です。年利換算すると2.6%ほどになります。

配当を入れればもう少し行くと思いますが、これでは少し寂しいので2020、2021年

の金融緩和時に最大で100MAを80%ほどアウトパフォームした実績を当てはめて

試算してみましょう。


6700×1.8=12060

 

今の株価の3倍ですね。20年で3倍なら夢がありますね。

年利換算すると5.7%ほどになります。

うーん、S&P500の過去20年の年利平均って10%ぐらいでしたよね?

やっぱりいい加減な試算じゃ碌な数字は出ないようですね。

 

 

逆に過去の移動平均線の傾きから未来を予測出来ているかを調べてみました。

 

 

これはNasdaq 100のチャートですが、ドットコムバブルの頃の100MAを伸ばして

みたら2020年辺りの株価に大体重なりました。

S&P500でもほぼ同じ結果でした。


さっきは超金融緩和バブル時のモメンタムは継続しないと言って差し引いて

しまいましたが、未来予測をするのにはそれぐらい成長プレミアムを乗せた方が

いいのかもしれないですね。

チャート貼るのがめんどいので割愛しますが、S&P500の20年後で約8500ポイント

今の株価のざっと2倍、年利換算で3.6%でした。

 

ドットコムバブルのド天井あたりで買った人も、20年で2倍ぐらいなので

同程度ですね。

 

 

もう一つおまけに1990年辺りの100MAの傾きで2010年頃を占ってみました。

 

 

奇しくもリーマンショックのボトム辺りに当たってるのがなんとも皮肉ですね。

20年程度では大きな経済成長モメンタムの上昇は見込めないんですかね。

まあ、テスラとかが何とかしてくれるでしょう(適当)。

 

以上、移動平均線を使ったお遊びでした。