第一生命経済研究所が2013年5月に掲載した「5月23日の株価暴落からの教訓」が今日の
日本株にも当て嵌まるように思えるため、書き留めておきたい。
ファンダメンタルズから見た類似点を記事より抜粋
・株価上昇ペースが速すぎたことで、高所恐怖症に陥っていた。
・これまで株価を押し上げていたのは、海外マネーの影響が大きい。
・長期金利が 1.00%にワンタッチしたことは、長期金利の上昇ペースが速すぎると
多くの人に感じさせた。
・最近の株価上昇は、「大きな上昇」ではあったが、「強い上昇」ではなかったのだろ
う。(中略)期待先行という性格が「脆さ」の原因につながった。
・金融政策が、大きな緩和メニューを実行すればするほど、そのプログラムを手仕舞う
ときの反動も大きくなる。だから、金融緩和に依存した景気回復の図式は、出口戦略
への着手のところが不安定になる。
また、当時は2012年12より始まったアベノミクスにより、日本株に対する見直し買いが
入ったという経緯もある。
昨今もPBR改革、デフレ脱却、バフェット効果など、日本株に対する見直しシナリオが
複数存在するが、その効果がいつまで持続するかは不明。
【 参考 】日本国債10年利回り ※週足MACDがゴールデンクロスしていることに注意
2013年5月23日は前日比▲1,134.28 円(下落率▲7.32%)であり、単日での下落率として
は史上11番目。
これが今日そのまま再来するとは思わないが、2013年5月の高値15942円から、一月足
らずで12415円まで約22%の下落を喫した。
チャートで見ると以下の通り、変動幅上限水準から、ほぼ平均水準までの調整となる。
今見返すと微々たる下落に見えるが、現在の株価に置き換えると今年3月の高値40888円から
20%下落で32710円。
平均水準までの調整となった場合の想定は、今年10月末なら33650円、2025年3月末なら34930円
2025年10月末なら36760円。
再度2013年の株価に戻るが、5月の急落から徐々に値を戻し半年ほどで高値更新、その
後は再度平均水準まで調整後、2014年10月の「サプライズ追加金融緩和」の恩恵で翌年
年央にかけて上限ラインを超える株高に至るも、チャイナショックの影響もあり2016年
半ばにかけて15000円割れまで下落する。
2013年5月の高値が15942円であることから、2016年半ばまで3年でのキャピタルゲインは
ゼロということになる(積立の場合、より高値で買い付けている都合上元本割れ)。
その後も1年程かけて高値奪還するも、横這いからコロナショックで変動幅下限水準ま
で下落となる。
この時の底値は16700円であるから、2013年5月の高値(15942円)を基準にすると、7
年あまりでキャピタルゲインは4.8%弱、年利換算で約0.67%になる。
「日経平均はバブルではない*」「これからは日本株の時代」との声も聞かれるが、リ
スクシナリオとして、これぐらいの想定は踏まえておきたい。
ちなみに今後、変動幅下限水準まで下落する場合、2030年4月末想定で40900円となる。
* 足元の日経平均のPERは16倍程度だからバブルには程遠いと言われているが、指数ベースのPERは24倍程度
まで上昇している。