株式市場は予定調和的展開
ISM製造業・非製造業等の景気指数は市場予測を下振れるが
雇用コスト、価格指数等のインフレ指標は市場予測を大きく上振れ。
しかし煮え切らないFOMCと弱い雇用統計を経て、金利はなんとか4.5%まで低下。
CBOE Interest Rate 10 Year T No (^TNX)
金利上昇を嫌気していた株式市場は当然好感、50MA~100MAと規律正しくチャネルを
形成しながら200MAまで値を戻す。
Nasdaq 100 Jun 24 (NQ=F) *4時間足
実にお行儀良い値動き。呪術的な力が働いているのだろう。
テクニカル的にはこのまま200MAを奪還、ファンダメンタルズ的には景気が腰折れしな
いままインフレ鎮静が望まれる。
足元では、マネタリーベースも貨幣の流通速度の伸びも鈍化しつつあるように見える。
しかし、この程度の鈍化でインフレ鎮静にどれぐらい時間が掛かるか、それまで景気が
持つのかが懸念される。
過去、パウエル議長はマネー急増とインフレ亢進の関係を否定した(危機時には貨幣が
貯め込まれ流通速度(V)が低下し、インフレは起きない)。
が、図らずも(V)が亢進し近年例を見ないレベルのインフレを引き起こした。
(上掲の記事の日付は2021年3月、皮肉にもこの後ほどなくインフレが急騰)
インフレ急騰時の(V)と今の水準を比べてどうだろうか。
QTでちょっとM2を減らしたぐらいで過剰流動性は減退しないのではないだろうか。
M2×M2V(流通速度)チャート
生成AI相場はやや期待外れ
4/19に市場を震撼させたSMCIの決算は売上が市場予測に僅かに届かず。
第3四半期の売上高が38億5000万ドルに上昇したと発表した。
これは市場予想の38億6000万ドルをわずかに下回る。
Super Micro Falters After Missing Market’s High Expectations
Super Micro Computer (SMCI) Stock Forecast and Price Target 2024
結果、株価は14%安、週足もダウントレンド。
Super Micro Computer, Inc. (SMCI)
Nvidiaはなんとか持ち堪える。
NVIDIA Corporation (NVDA)
為替介入に関する呪術的講釈
今週は予定調和的な株式より為替市場の動きが興味深かった。
「効果なし」「すぐに戻る」と言い囃された為替介入だが、5/2のFOMC終了直後の介入
と思しきアクションがトレーダー視点からは技巧的に見えた。
USD/JPY (JPY=X) *四時間足
一回目と思しき介入は160円を超える水準で行われ、5円ほど円高に押し戻したがテクニ
カル的にも有効性が認められず、すぐに158円近辺まで戻される。
二回目と思しき介入は、FOMC直後と不意打ちとしても巧いタイミングであり、テクニ
カル視点で見ても、50MAを有意に割り、あわよくば200MAまで貫通せんとする意図ま
で見せつけた為か、その後の戻りは5MAすら超えることが出来ず、雇用統計発表からの
金利低下を受け、200MAを割る結果となった。
(もしかしたら雇用統計の結果を知る米国側からなんらかの入れ知恵があったのかもしれない。イエレン長官
の直前のコメントも投機筋を油断させる意図があったと見ることも出来る。)
値幅だけ見ると、一回目二回目ともに同程度であり、テクニカルというオカルトを信じ
ない人から見ると一回目同様すぐ戻ると思われたが、ブコメでも言及されている方がい
たように、投機筋の鼻を折る程度の効果は認められたように思う。
今回の介入の賞味期限だが、週足のトレンドを曲げるのにはもう一歩のところなので、ダ
メ押しでもう一回介入があるような気がしている。
USD/JPY (JPY=X) *週足
週足のトレンド転換は、ここ最近では2022年11月と、2023年11月頃に見られたが
2022年はCPIの下振れ、2023年はFRB理事の利下げ観測というファンダメンタルズの後
押しが伴っていたため、今後の為替水準はやはり日銀の利上げ(債券買い入れ縮小)
あるいはアメリカの景気減速が鍵と思われる。
(FF金利が下がらなくても、長期金利が下がれば円安進行には逆風となる。)
週足トレンドが転換すれば、もう3、4ヶ月は時間稼ぎが出来るかもしれないので、今年
後半の日銀の利上げ観測との整合性もとれる。