漂うクライマックス感

 

MSQ前の一幕

魔の水曜日は回避したと安堵した矢先、翌日の場中に40500目前にして寄り天で急落。

金曜のMSQ当日も、40000だか30MAだかに上値を押さえつけられ騰勢を殺がれる。

 

Nikkei 225 (^N225) *一時間足

 

上掲の現物チャートでは、2月以降の青の50MAを下値支持線とした上昇トレンドを辛う

じて保持しているが、先物チャートではトレンドラインを完全に割った形となっている。

 

Nikkei/Yen Futures,Jun-2024 (NIY=F) *一時間足

 

この他にも、宴の終わりを匂わせるような兆候が目に付く。

これまで投機的に買い上げられていた銘柄が軒並み急落。

 

例えば、国内の銘柄では「さくらインターネット」。

 

 

今年の株式相場を牽引してきたと言っても過言ではないNvidia

 

 

 

 

 

 

毎度お騒がせの雇用統計

8日夜に発表された、毎度前月データが下方修正されていることでお馴染みの米国非農

業部門民間雇用者数。

前回、界隈を当惑させた強すぎるデータもきっちり下方修正。

 

 

www.zerohedge.com

 

歴史上最もばかげた雇用レポートの内部

先月、1月の雇用統計は「最近の歴史の中で最もばかげている」と言われましたが

今朝、バイデンのゴールシークプロパガンダ部門(別名BLS)が2月の雇用統計を発表したので

私たちは間違っていました。

BLSは私たちのコメントを読んで、自らを卑下するのをやめることに決めたようです。

先月のばかげた印刷を3分の1以上削減し、当初は353Kのビートとして報告されていたものを

わずか229K、124Kの改訂に修正することで実現しました。

 

景気の継続性

今の好況は95年型か、98年型か。

 

youtu.be

 

 

95年型なら、利下げと共に堅調な相場が数年続くが、98年型なら利下げするも、ほどな

く再利上げで株価暴落。

 

 

95年型は、失業率低下とともに景気拡大が続き株価も上昇。

98年型は、失業率の下げ代は殆どなく、好景気も短命に終わる。

今は失業率は史上最低値に近いため98年型に近い

 

 

98年型も今と似たような二極化相場だった。

 

S&P500対数チャート



 

日経22540000

 

 

概ね行き着くところまで行き着いた感じですが、週末のMSQまでに40500辺りまで走り

そうではあります。

その前に、魔の水曜日で一波乱あるか。

 

日経225オプション手口 | 投資の森

 

4月限の建玉を見る限り、変なのを除いて一番多いのは35000のプット。

ファープットもそれなりにあるので暴落を期待しているのでしょうか。

 

 

youtu.be

 

万年強気派は依然として43000だの景気の良い数字を掲げていますが、去年から戦略的

強気派だった人気ストラテジストの岡崎氏も警鐘を鳴らす水準に。

 

かといって、ここで天井を打つとか、急落が近いとかいう話ではなく、何か悪材料があ

ると過敏に反応するぐらいの高値警戒感がある、程度の話です。

 

移動平均との乖離などを「抽象的」と斬り捨て、自身の定義を開陳していますが、過去数

回の例をサンプルに、恣意的な基準でぼんやりとした傾向を語っているだけなので似た

ようなもんだと思います。

 

 

 

 

黄昏の「not 今バブ」フィーバー

 

 

妥当PERにどれほどの意味があるのか

 

日経平均株価:PERチャート | 投資の森

 

過去を振り返ると特殊な時期を除けば、概ねPER11~17ぐらいで推移しているというのは

事実ですが、今がどのフェーズか考えることには、それなりに意味があると思います。

 

Nikkei 225 (^N225) *週足

 

チャート脳の立場から眺めると、週足200MAに回帰していくように見えます。

1年後か2年後か分かりませんが、更に上に行くには34000辺りまで調整して、更に1、2

年ぐらいは値固め期間に入るというのが過去10年ぐらいのサイクルのようです。

 

お節介ついでに、前回の補足的な考察。

 

 

同じく2月22日取引分の、寄与度上位15銘柄を集計してみると、年初来の上昇分の9割近く

はその15銘柄で占められています。しかし、それらを時価総額ベースで見ると25%程度

にしかなりません。

高PERの値嵩株がガンガン上がっても、然程日経平均のPERに反映されないのはこういっ

た事情があるからかも知れません。

特にトヨタ日経平均全体の時価総額の8.3%を占めるわけですが、そのPERが10倍程度

だと、それなりに引き下げ効果がありそうです。

 

「だからどうした」「そんなの昔からだ」と言われたら返す言葉もないのですが、PERが

割高になればPBRを持ち出したり、期待盛々の一年後の予想EPSを持ち出したり、果ては

日本への評価が刷新されたなど、現状を追認するロジックを捻り出すことは容易なので

PERを始めとしたバブル or notバブル論は雰囲気語り以上の意義は見出せないと個人的

には感じます。

 

バブルでなくても期待が剥落することは普通にありますし、過去の最高値も短期勢から

見たら、仕掛けるのに都合の良い節目の数字に過ぎないのかも知れません。

 

 

 

今はバブルじゃない論の胡散臭さ

 

今の株価は高いと感じてしまってるやつは本能的に長寿タイプ

日経平均1989年末時点のPERは60~70倍だったそうですが、それと比べて2月22日現在

のPERは16.47倍。

これを以て、「今はバブルじゃない」という意見を其処彼処で見掛けるたび蟠りを覚える

ので調べてみることに。

 


年初来、日経平均上昇分5634.5円の内、8割方は寄与度ランキング*1上位7銘柄で占められ

ているようです。

しかもその内、ファストリ以外は半導体関連銘柄*2で、PERの平均は約50倍になります。

1989年当時の個別銘柄の寄与度やPERを知る術がなく比較は出来ないので、だからどう

だということは言えませんが。

 

更に1年遡って調べてみると

 

上位7銘柄の2023年年初からの上昇分は、日経平均上昇分を超えています。

*換算係数とか組入銘柄変更とかあったけどめんどいので無視します。

 

これを以てバブルと言えるかどうかについては言葉の定義が定かではないので判断は保

留しますが、米国株はMagnificent 7頼みだの、どうこう言えないレベルですね。

まあ、TOPIXも相応に上がっている*3ので、一部の銘柄のお陰で80年代バブルの遺恨を克

服した、みたいな言い方は語弊がありますが。

 

 

 

*1:2024年2月22日分

*2:SBGには傘下のARMがある

*3:年初来12.6% 2023年年初から41%

2024年上昇相場【第一幕】

 

材料出尽くしで閉幕か

Nvidiaの好決算を受け、日経平均も1989年の史上最高値を無事更新。

くす玉間に合って目出度し。

 

日米株ともに連日のように高値更新、それもかなり早いペースでのラリーとなると必ず

と言って良いほど囁かれる「バブル」という漠たる常套句。

構成銘柄のまるで違う過去の株価と比べることの無意味さについては言うに及びません

が、少々気の利いた人々が口にする「過去のバブル期のバリュエーションと比べれば今

は特に割高ではない」という小理屈についても、空腹時血糖値が150mg/dl超の人に対して

空腹時血糖値500mg/dlの重症者と比べれば大したことない、と慰めの言葉をかけることに

どの程度の有難味があるのか考えてみれば、その不毛さに気付くでしょう。

 

目下の状況を名状するなら「メルトアップ」でしょう。

こういったオタク知識は、所謂金融リテラシーに含まれない所為か、ソフィスティケート

された長期投資家から発せられるのを目にすることはあまりありません。

強気相場の最終局面では、マーケットが総じて強気になり、投資家は

幸福感や熱狂に浸っている状態となりますが、通常、これは長く続かず

逆にメルトダウンが起こる可能性が高まります。

 

指数に対する寄与度を見れば、殆どが半導体関連銘柄であり、そのPERは決して割安で

はありません。

Nvidiaほどの成長性もないのに連れ高しているだけではないでしょうか。

 
  • 2024年02月22日
  •  
  • 16:00現在
  •  
  • 225銘柄
コード
銘柄名 市場   株価
  前日比
寄与度
PER
PBR
利回り
8035 東エレク 東P     36,580   +2,060 +5.97% +205.80 49.8 10.83 1.00
9983 ファストリ 東P     43,270   +1,320 +3.15% +131.87 42.8 7.05 0.76
6857 アドテスト 東P     7,088   +494 +7.49% +131.60 81.1 13.01
9984 SBG 東P     8,800   +430 +5.14% +85.92 1.32 0.50
4063 信越 東P     6,309   +204 +3.34% +33.97 24.2 2.96 1.59
6920 レーザーテク 東P     41,000   +1,980 +5.07% +26.37 75.5 30.90 0.47
7735 スクリン 東P     19,895   +1,835 +10.16% +24.44 29.5 5.79 1.02
6762 TDK 東P     7,885   +172 +2.23% +17.18 24.9 1.86 1.47
7203 トヨタ 東P     3,521.0   +92.0 +2.68% +15.32 10.6 1.46
2801 キッコマン 東P     9,559   +316 +3.42% +10.52 35.9 4.01 0.97
7267 ホンダ 東P     1,799.5   +52.5 +3.01% +10.49 9.1 0.72 3.22
4543 テルモ 東P     5,733   +75 +1.33% +9.99 40.5 3.50 0.77
8058 三菱商 東P     3,250.0   +96.0 +3.04% +9.59 14.1 1.54 2.15
6902 デンソー 東P     2,748.0   +70.5 +2.63% +9.39 21.3 1.64 1.89
7741 HOYA 東P     18,925   +530 +2.88% +8.82 40.0 7.53

株探 | 株価注意報 - 日経平均の寄与度ランキング

 

 

3月以降を警戒する理由

www.youtube.com

 

・リバースレポの枯渇

https://www.isabelnet.com/wp-content/uploads/2022/11/SP-500-and-Liquidity.png

2023年春以降の急騰局面で、流動性(Liquidity)によって相場が支えられていたことは

ある程度言えそうですが、それ以上に浮付いた熱狂による底上げが見られます。

今後流動性が乏しくなっていく懸念が顕在化すれば、上昇基調の長期金利さえも無視し

て株高に興じていたムードが急転し、現実に引き戻されるリスクが少なからずあります。

 

 

・BTFPの終了

殆どアービトラージャーの肥やしになって終わったBTFPですが、開始時より長期債金利

が高い=債券の含み損が大きい状態となっています。

BTFPは対症療法に過ぎず、危機を先延ばしにしただけということになります。

 

・銀行の貸出態度の厳格化

前回述べたようにクレジットクランチの懸念あり。

 

銀行の貸出態度DIと失業率

https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/e/-/img_9e0bd146131c9d1036ea0ca4e3f510ab34139.png

米景気、正念場へ。消える「強制貯蓄」と干上がる銀行貸出(愛宕伸康) | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

 

銀行の貸出態度DIが厳格化した後、しばらくして失業率が大幅に悪化し

そのタイミングで景気後退になっている

 

丁度リファイナンスの時期と重なることもあり、倒産件数が急増し、それに伴い失業率

も急騰することは想像に難くありません。

また家計においては超過貯蓄が底を突くころでもあり、複数の緊縮の波が一遍に訪れる

ことになります。

 

機関投資家の決算シーズン

更に付言すると、3月は機関投資家の決算シーズンでもあり、その為の益出しの売り圧

力が発生します。

 

https://charts.equityclock.com/seasonal_charts/indexes/$SPX.PNG

 

季節性として2月後半から3月にかけては相場が弱いのは、そういった事情が一因にある

ようですが、年初からの株高で割高になっている分、例年より激しく売られるかもしれ

ません。

 

・最後にババを引く日本の個人投資家

「NISAでの資金が大量に流入して買い支えるだろう」と考える人がいるかもしれません

が、年初一括買いが含まれる1月の流入額ですら精々1兆円強です。

日経平均の 一日の 売買金額ですら3~4兆円ほどあるのですから、より大きい世界のマー

ケットへのインパクトは限定的でしょう。

 

また、流入額が多かったと言って喜んでもいられません。

市場の後追いで買い急ぐ性向があるのか、流入額が多い年が相場の天井という傾向が見

られます。

https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4320352015012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=680&h=623&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=e7df378834a3aca8b278a47b0e2fbd19

2023年の資金流入額、「世界のベスト」がトップ - 日本経済新聞

 

・数年来の低VIX

www.bloomberg.co.jp

 

そこに付け込んだ、投機筋による無慈悲な売りが発生するシナリオも考えられます。

楽観ムードとは裏腹に年初から高値警戒感は鬱積しているので、センチメントの反転が

急速に起こる環境は整っています。

こういう馬鹿が相場の安寧を脅かすことは間々あることです。

 

 

市場参加者もバカばかりではないのでそれを分かった上で、いや、分かっているからこ

そ、悪材料が顕在化していない今の内にラリーを消化しておこうという目論見で参加し

ているのように感じられます。

そういった背景に無頓着で、昨今の株高に気を良くして、ここぞとばかりにまとまった

金額を投入した投資家ならぬ篤志家もSNS上に散見されますが、高い勉強代になるかも

知れません。

 

10%程度の下落は十分想定される

S&P 500 (^GSPC) *週足

 

チャートの下部に30MAに対するMA DEV(移動平均乖離率 )を表示していますが、現

在の乖離率は11%で、過去3年以上見ないほど高水準です。(2023年7月の高値で9.86)

 

過去の安値を結んでトレンドラインを作図してみましたが、それに準ずるならば、年央

にかけて4500近辺まで調整するシナリオが発生し得ます。

 

日本株についても同様に

 

Nikkei/Yen Futures,Mar-2024 (NIY=F) *週足

 

30MAに対する乖離率は17.53(2023年6月の高値で18.62)。

それを鑑みると40000まで行く余地はありますが、34000程度までの下値余地も同時に

秘めているようです。

 

・奇しくも2018年は積立NISA開始の年

上の記事にある6年前は2018年、この年は年初と年末2回の急落に見舞われました。

 

 

年初の急落は俗に「VIXショック」と呼ばれるもので、今の状況と類似します。

この時の高値の30MAに対する乖離率は11.60で下落幅は12%ほどでした。

年末については

米連邦準備理事会(FRB)が世界経済の先行き不透明感を指摘しながら

利上げの継続方針を示し、米国株が再度急落

株式市場、記録ずくめの2018年 日経平均7年ぶり下落 - 日本経済新聞

とあり、今の景気動向および金融政策の不透明さと似通う点が見られます。

この時の下落幅は約20%。

 

S&P 500 (^GSPC) *月足

 

月足50MAまでの調整は2~3年に1回程度の頻度で発生しています。

前回が2022年10月なので、2024年末~2025年中頃に発生する可能性は十分あります。

 

 

 

限られたルールの中で勝利条件を満たしただけ

 

2023年に株高を齎したもの

結論から言うと「利下げ期待」「AI」「流動性です。

「堅調な経済」を加えたいところですが、そもそもM7以外の業績が冴えないという理

由でM7に資金が集中していたという事情があるので微妙です。

 

「Dow指数」は最高値を更新していますが、Dow自身の株価は横這いです。

Dow Inc. (DOW)

 

中国の消費低迷の影響が大きいNIKE

NIKE, Inc. (NKE)

 

Disneyなんかは酷いものです。

The Walt Disney Company (DIS)

 

前回掲載したUPS

 

ウォルマートはまだマシな方です。

Walmart Inc. (WMT)

 

剥落しつつある上昇材料

まず「利下げ期待」ですが先日発表されたCPIおよびPPI共に市場予想を上振れました。

それを受けて、再利上げの話も浮上。単月の結果だけで判断は出来ませんが、去年11月

には、今年の3月にも利下げと浮かれていましたが、今はもう5月利下げすら望み薄に。

 

米国政策金利モニターツール - investing.com 日本

 

 

次に「AI」への期待ですが、2/21にNvidiaの決算があります。

ですが、既に期待は大きく織り込まれている為、材料出尽くしで売られる懸念も少なか

らずあるでしょう。

 

NVIDIA Corporation (NVDA)

 

お供のスーパー・マイクロ・コンピューターは一足先に調整色

金曜日は下髭も付けずに大陰線で5MAを下抜け。

 

 

 

そして今、最も重要かもしれない流動性ですが、それを支えていたリバースレポも

枯渇間近。

それに伴い、QT縮小の議論も遠からず持ち上がるでしょうが、QT停止・QT終了どころ

か、QE再開そして利下げとの意見も。

経済指標の強さとインフレ再燃の懸念がある中、QE開始は正当化されないでしょう。

 

炭鉱の龍の人

RRP枯渇のタイミングでのQT減速を唱える声が上がりはじめ、本ブログなどはそれを

「甘え」としてきた

RRPが枯渇した程度でQT減速を始めるなら、結局2021年の過剰なQE

クライマックス部分だけが巻き戻ったにすぎない。

そのクライマックス部分さえもRRPにオフセットされていたのだから、体感的には

要するにQTというものは一切存在しなかったことになるのではないか。

これほど大掛かりで永久的なBS拡大がまかり通ることに対して憤りを禁じ得ないところである。

と述べられていますが、全く同感です。

 

それに付随した話で、債券の発行計画に不穏な点が見られるという意見が。

該当部分を抜粋すると

 

以前の様式では満期が到来する国債の量を測り知れたが、新しい様式では準発行額が分

からなくなっている。

市場にショックを与えないように分かりづらくしているのではないか。

また、昨年11月発表の今年第1四半期の計画と違って短期国債の発行量は減らされ、そ

の分だけ長期国債の発行量が増えている。これは市場にとっては悪材料である。

 

流動性の源泉ともいえる短期債の減少だけでも悪材料ですが、長期債の増加は長期金利

の上昇圧力ともなるでしょう。

このところのインフレ指標の再燃からか、10年債金利は上昇基調にありますが、上記の

発行計画の件も織り込まれつつあるのかもしれません。

 

CBOE Interest Rate 10 Year T No (^TNX)

MACDゴールデンクロスか。

 

 

鬼より怖い・・・

www.youtube.com

 

日本株には逃げ足の速い投機筋のマネーが流入しているようです。

39000まで買い上げられる想定は十分可能ですが、一文新値で急落、なんて展開になら

ないといいのですが。

 

こちらの情報を見ると、流動性枯渇とは別にクレジットクランチの懸念が。

 

前にも書いたように、リスクが目先に迫っているからこそのリスクテイクの前傾化が起

こっているように思えます。

そこによく分かっていないNISA初心者や、「マネーリテラシーの高い」投資家が大勢乗

っかっているわけですが、単なる楽観から来る株高とは異質なものであることを思い知

らされる時も近いのではないでしょうか。

 

CBOE Volatility Index (^VIX)

 

 

 

 

米国株最高!

 

S&P5005000

恒大集団が破綻しようが、各国に商業用不動産の焦げ付き懸念が飛び火しようが、そん

なことは過去のニュースとばかりに市場はジリ高基調を崩さず。

テスラがM7から陥落したり、Googleが冴えない決算で売られたりと区々ではあります

が、バリュー界の成長株メタが決算で20%爆騰したり、Armが50%大爆騰したりとセンチ

メントに翳りは見えず。

まあ、私は昨年末から1ミリも乗れていないわけですが。

 

そんな最中に発表された雇用統計。

毎度のように過去のデータがしれっと下方修正されることでお馴染みの米国労働省発表

のデータですが、予想を大きく上振れし、今回は珍しく前回結果も上方修正。

 

 

しかし、あまりの強さにケチが付きまくっている模様。

事前に発表されるADP雇用統計の家計調査と、労働省発表の事業所調査とは大きく乖離

が生じています。

 

https://realinvestmentadvice.com/wp-content/uploads/2024/02/multiple-job-holders.jpg

 

 

https://cms.zerohedge.com/s3/files/inline-images/full%20time%20vs%20part-time.jpg?itok=sYQHusm5

China Stocks In Freefall, Government To The Rescue - RIA

 

複数の職場を掛け持ちの人をダブルカウント、トリプルカウントしているという話。

しかも過去一年を遡ってみても、増えているのはパートタイムばかり。

また時給の上昇分が労働時間の減少によって相殺されているので、国民の生活は徐々に

困窮していることでしょう。

 

これで本当に経済が強いと言えるのか、と各方面から疑念の声が噴出していますが

市場は意に介さず史上最高値を更新中。

実際GDPも強いので、無理もないのですが。

 

https://www.atlantafed.org/cqer/research/gdpnow

 

しかしGDI(Gross Domestic Income:国内総所得)はGDPほど伸びていません。

 

 

 

景気が強いのにモノが動いていない?

 

https://www.isabelnet.com/wp-content/uploads/2019/05/Truck-Tonnage-vs.-SP-500-Index.png

https://www.isabelnet.com/truck-tonnage-vs-sp-500-index/

 

www.bloomberg.co.jp

 

United Parcel Service, Inc. (UPS)

 

 

景気が良ければ税収が増えるはずですが・・・。

 

https://realinvestmentadvice.com/wp-content/uploads/2024/01/Federal-Tax-Receipts-vs-GDP-2-yr-ROC.png

データを平滑化し、24 か月の変化率でインフレ調整後の税収を使用することで

正確な相関関係がわかります。

税収が年間成長率 2% を下回ると不況が起こります。

2年間の受入額の年間変化は 2% の警告ラインを大きく下回り、現在は -5.77% です。

 

https://realinvestmentadvice.com/wp-content/uploads/2024/01/GDP-less-Deficit-Spending-vs-GDP.png

経済成長は表面上は期待を裏切り続けているが、財政赤字支出の増加がなければ

第3四半期の経済成長率は6.21 %ではなくわずか0.7%で景気後退水準に

達することになるでしょう。

Deficit Spending Keeping The Economy Out Of Recession - RIA

 

頼みの綱の経済成長も赤字支出頼みのようです。

 

www.zerohedge.com

 

成長に関する大いなるデマ

第4四半期のGDPは3,290億ドル増加して27兆9,390億ドルとなり、でっちあげではあるが

立派な数字だが、より気がかりなのは、同じ期間に米国の財政赤字が50%以上

つまり5,100億ドル以上増加したことです。

1 ドルの成長を生み出すには 1.55 ドルの財政赤字が必要となり

1 ドルの GDP 成長を生み出すには 2.50 ドル以上の新たな債務が必要になります。

 

結論:米国株最強!

これだけの虚仮威しを揃えて市場を支える「システム」は見事というほかありません。

高成長産業は勿論、他国にはない強力な金融・財政諸々の力が株式市場を支えてくれ

るわけですから、これからもカネにモノを言わせ、皆の期待を背負って躍動してくれる

ことでしょう。

 

私は今のところNISAは勿論、長期目線で資金を投ずる気は微塵も起きませんが。*1

 

 

https://www.isabelnet.com/wp-content/uploads/2023/06/12-Month-Forward-PE-Ranges-MSCI-Regions.png

https://www.isabelnet.com/valuation-12-month-forward-p-e-ranges-msci-regions/

 

https://www.isabelnet.com/wp-content/uploads/2023/09/SP-500-Earnings-Yield-UST-3-Month-Yield.png

https://www.isabelnet.com/sp-500-earnings-yield-ust-3-month-yield/

 

https://www.isabelnet.com/wp-content/uploads/2022/11/SP-500-and-Liquidity.png

https://www.isabelnet.com/sp-500-and-liquidity/

 

www.fidelity.co.jp

 

いま米国・大型成長株式に投資をすると、今後10年間の期待リターンはどの程度か?

今後、10年間の実績リターンは0%~5%程度にとどまると目算されます。

 

最近はNISAでオルカンは半端者が選ぶ投資商品で、素直にS&P500買っておけよ、何だ

ったら成長性の核であるNasdaq100やFANG+だろ、という風潮が醸成されつつあるよう

ですが、2021年の終わり頃、レバナスブームに遅れて乗って来た人達の再来を感じます。

 

 

https://www.isabelnet.com/wp-content/uploads/2020/04/Insider-Transactions-Ratio.png

https://www.isabelnet.com/insider-transactions-ratio/

 

www.bloomberg.co.jp

 

 

*1:

2年ぐらい前からずっと言っているわけですが、リーマン危機を経験していない私の

短い投資経験の中では、過去一投資意欲が失せています