リスク許容度?
しばしば見かけるこの単語、ボラタイルな投資商品を購入している層が
好んで使っているイメージがありますが、その言葉が意味するところについて
少し考えてみたいと思います。
これと似た言葉に「リスク選好」というものがあります。
投資における「リスク」と言うと、文脈によって意味が揺れますが、一般的には
「価格変動リスク」と解釈されるようです。
文字どおり大きな価格変動を選好しているわけですから、当然その値動きの暴虐さ
も許容しているはずで、当人たちもそのつもりで自身のリスク許容度の高さを
誇るような物言いをしがちなのですが、個人的には「本当にそうかな?」と
訝しく思えます。
かくいう私も専らレバレッジETFを用いたトレードを行っているのですが
リスクなんて極力許容したくないので、移動平均から大きく上振れしたり
リスクイベントの前にはさっさと売るし、大分下振れしない限り積極的に買い
も入れません。
前述のリスク許容度を誇っている勢から見たら、チキントレーダーに見えるので
しょうが、リスク許容度の高さがリターンの高さを保証するわけでもないのに
ガチホだ握力だと無闇に誇りたがるのは、単純に無益に思えます。
「寝てない自慢」と同種、と言えばイメージが伝わるでしょうか。
もっと厭な言い方をすると「奴隷の鎖自慢」に近いかもしれません。
そもそも価格変動リスクと言うのは、上方にも下方にもあるもので
買った商品が値下がりするリスクと、売った商品が値上がりするリスク
それらを考えながら売買判断をするわけですが、当然「もっと安く買えたのに」
とか「もっと高値で売れたのに」なんて後悔はしょっっっちゅうううあるわけです。
そこを粛々とこなしていくのがトレーダーなわけですが、ガチホ勢はそういった
売り判断に関わるリスクは一切取ろうとせず、ひたすら下方の価格変動リスク
(≒含み損)に耐えることのみを以て「リスク許容度が高い」と自負しているわけ
です。
利確・損切が出来ないのもチキンだと思うのですが、投資は蛮勇を競うゲーム
ではないので、臆病であることで投資リターンが確保できるなら、私は喜んで
チキンになります。
お金いっぱい欲しいんだったらさ、リスク許容度あてにしたら ダメじゃない?
また「狼狽売り」と言って、他者の売り判断を嘲笑う手合もしばしば見かけます。
その一方で、SNSで寄り集まって傷の舐め合いをしたり、都合の良い未来像を夢想
して気慰にしたり。
何にせよ資産運用において、リターンに寄与しない感情や幻想を持ち込むような
行動は無益かつ時間の無駄なのでやめた方がいいと思いますし、そうしなければ
不安でいられないなら、最早リスク許容度を超えていると言わざるを得ないので
ポジションを減らすなど具体的行動による解決を試みた方が実際的でしょう。
よく、「感情で投資判断すると失敗する」などと言われますが、無闇にリスク耐性
を恃みにするのも感情的行動に過ぎません。
そういったバイアスに基づく投資を行っている限り、許容しているのは
「自身に都合の良いストーリー」でしかありません。