の続き
月次データを用いてシミュレート
前回は週毎の買付ルーチンでしたが、今回は月毎です。
期間や買付ルールは前回と基本的には同じ。
買付額は毎月末に650ドルずつ。
ドルコスト
期間 | 元本 | 総資産 | 利益率 | 年平均 |
1990-2009 | 156,000 | 233,600 | 49.7% | 2.04% |
1993-2012 | 156,000 | 238,690 | 53.0% | 2.15% |
1996-2015 | 156,000 | 276,148 | 77.0% | 2.90% |
1999-2018 | 156,000 | 319,636 | 104.9% | 3.65% |
2002-2021 | 156,000 | 476,376 | 205.4% | 5.74% |
一括
期間 | 元本 | 総資産 | 利益率 | 年平均 |
1990-2009 | 156,000 | 492,234 | 215.5% | 5.91% |
1993-2012 | 156,000 | 510,628 | 227.3% | 6.11% |
1996-2015 | 156,000 | 517,680 | 231.8% | 6.18% |
1999-2018 | 156,000 | 318,141 | 103.9% | 3.63% |
2002-2021 | 156,000 | 647,624 | 315.1% | 7.38% |
結果は週毎の買付とほぼ互角といった感じ。
前回同様、これを叩き台に買付額変動ルールとの比較を行います。
前月比の下落率に応じて買付金額を変える
参考までに、1980~2022年の間には516ヶ月あり、その内、前月比でマイナスだった
月は193あります。更にその中で、前月比の騰落率nが
-5%<n<0%だった月は143
-10%<n≦-5%だった月は43
-15%<n≦-10%だった月は5
n≦-15%だった月は2
あります。
これを踏まえて買付額を以下のように設定しました。
・前月比でプラスなら買付を行わない
・前月比-5%超で買付額2000
・前月比-10%超で買付額20000
・前月比-15%超で買付額30000
・それ以外は買付額500
-5%を超える下落率となる月は10回に1回もないのでそれなりに注ぎ込みます。
10年に1度の-15%超の時にはNISA枠全部使う、ぐらいのイメージ。
結果は以下の通り。
期間 | 元本 | 総資産 | 利益率 | 年平均 |
1990-2009 | 163,000 | 219,073 | 34.4% | 1.49% |
1993-2012 | 166,500 | 252,717 | 51.8% | 2.11% |
1996-2015 | 168,500 | 355,479 | 111.0% | 3.80% |
1999-2018 | 153,000 | 413,232 | 170.1% | 5.09% |
2002-2021 | 160,500 | 655,118 | 308.2% | 7.29% |
時期に恵まれれば一括投資並のリターンを得られますが、その逆だと大きく利益が
損なわれてしまいます。
以前にも同様のことを述べましたが、短期的な下落率を手掛かりに大きく投資額
を増やしても高値掴みにしかならず、少なからずリターンを毀損する結果になる
可能性は等閑視すべきではありません。
成績を安定させる為に買いタイミングを分散をしているはずなのに、その効果が
得られないのでは有意義な投資法とは言えません。
そもそもドルコスト自体に大したヘッジ効果がないのに、それに更に恣意的に
ウェイトを掛けては、こういった結果になるのも無理はありません。
参考までに1990-2009のグラフです。
試しに1990-2009のデータで、追加投資を行わずに2015年末まで放置した場合
のリターンを試算すると
期間 | 元本 | 総資産 | 利益率 | 年平均 |
1990-2009+6 | 163,000 | 415,250 | 154.8% | 4.79% |
のようになり、一見1996-2015のリターンより良く見えます。
そういった結果だけ見て、その間に資金効率が大きく低減していることに
気づかないままになるケースは少なからず生じるでしょう。
知らぬが仏と言えばそれまでですが。
ドットコムバブルのド天井辺りで一括投資しても、20年では100%に近い利益率
は得られる*ので、それに劣るリターンしか出せない運用が如何に拙劣かは
理解しておいて損はないと思います。
* 2000年4月~2000年8月に一括投資した場合の20年後の利益率の平均は103%ほど。
最低でも60%程度。
最近も、株安に備えて現金比率を高めにしている長期投資家が少なくないようですが
下落率だけ見て全力投資みたいなことはしない方が良いでしょう。
どうせやるなら
こういった長期の価格変動レンジの下限(緑の線)近くまで下がってからにした方が
良いと思います。少なくともAverage(濃青の線)より下が推奨です。
ちょっと見づらいかもしれませんが、買付時のAverageとの乖離率と20年後の利益率
の関係をグラフにすると
(検証期間 1932-2022)
平均との乖離率がマイナスになるほど利益率は向上していると言えるでしょう。
概ね、買付時の平均線との乖離率が-5以下なら20年後の利益率は100%を超えると
期待出来そうです。
平均線との乖離率に応じて買付金額を変える
こちらは下落率と違って、周毎だろうと月毎だろうと平均線は一定で
その乖離率も下落率ほど大きく変動しないので試算する意味はあまりないのですが
一応。
ただ、下落率ルールに準じて以下のように買付額を設定すると・・・
・乖離率が+5以上なら買付を行わない
・乖離率-10%超で買付額2000
・乖離率-30%超で買付額20000
・乖離率-40%超で買付額30000
・それ以外は買付額500
期間 | 元本 | 総資産 | 利益率 | 年平均 |
1990-2009 | 254,500 | 410,629 | 61.3% | 2.42% |
1993-2012 | 292,000 | 476,324 | 63.1% | 2.48% |
1996-2015 | 292,500 | 617,189 | 111.0% | 3.80% |
1999-2018 | 302,000 | 767,799 | 154.2% | 4.78% |
2002-2021 | 303,500 | 1,462,394 | 381.8% | 8.18% |
買付額が大幅に増加してしまいます。
元本が大きい分、下落相場に弱く上昇相場に強いというのは当然同じ。
1990-2009のグラフ。
株安時に大きく資金を投入出来ているのは良いですが、それでも前回の週毎の
買付法より、元本が大きくなった要素を差し引いても利益率が低下してしまいます。
リターンを安定させたいなら一時期に資金投入はしない方が良いようです。
が、前述の通り、長期の価格変動レンジの下限まで下がるようなことがあったら
強気で一括投資で良いと思います。
そういった大幅な株安期が訪れるなら、次の買い場は2030~2040年辺りでしょうか。
それまではいつでも逃げられるように、半身で相場に参加するのが保守的だと思います。
今年も、企業業績悪化で暴落などと言われていますが、意外と持ち堪えてしまうかも
しれません。
以下はNasdaq100の週足チャートですが、去年の8月のように100MA辺りまで戻すかも
しれないと思っています。
目先は50MA辺りが限界っぽいですが。