より強い積立運用を考える

 

ドルコスト平均法の実力を見る

実際に運用シミュレーションをしてみます。

直近10年のチャートを使って「ほら米株投資ってこんなにすごいんです」みたいな

優良誤認じみた試算は無価値なので、もっとガタガタな時のデータでやります。

 

 

期間を3年ずつズラして、運用期間20年、毎週150ドルずつ積立。

比較用の一括投資は同じ元本を初日に全額投資。

配当・為替・手数料は考慮せず。

買付単価は終値を採用。

 

期間        ドルコスト      一括投資
元本 総資産 利益率 年平均 総資産 利益率 年平均
1990-2009 156,600 242,889 55.10% 2.22% 496,366 216.96% 5.94%
1993-2012 156,450 247,217 58.02% 2.31% 526,548 236.56% 6.26%
1996-2015 156,600 264,873 69.14% 2.66% 501,633 220.33% 5.99%
1999-2018 156,450 288,457 84.38% 3.11% 325,763 108.22% 3.74%
2002-2021 156,600 488,619 212.02% 5.85% 639,046 308.08% 7.28%

 

全期間で一括投資には負けます。

1999年のドットコムバブルの頂上辺りで一括投資してもドルコストには勝てる。

ドルコストのヘッジ効果はその程度。

そして結局株高で運用を終えるのが強い。

個人的にリーマンショックの底辺りで投資を断念してしまったケースの運用成績

を見たかったので1990-2009を運用期間の筆頭に選びました。

 

それをグラフ化したものがこれ。

 

 

この試算は配当を含まないので運用益0ということはないですが、底値売りすると

20年近い運用でもキャピタルゲインは0で終わります。

2007年頃の利益率は100%を超えていますが、後の下落で全て溶けた形になります。

含み益があることを心理的バリアのように思っている人は、これを見てどう感じる

でしょうか。

 

最大含み損率と金額

1990-2009 -11.5% -2,602
1993-2012 -19.1% -24,112
1996-2015 -34.3% -35,369
1999-2018 -39.9% -31,719
2002-2021 -37.7% -21,123

 

やはりリーマンショックの頃にそれなりに食らいます。

日本円にすると最大で400万弱。

 

 

ここまでは叩き台用のデータ。

これから買付金額変動ルールで試算します。

 

 

前週比の下落率に応じて買付金額を変える

同じ期間のデータを用いて以下のルールで買付を行います。

 

・前週比でプラスなら買付を行わない

・前週比-3%超で買付額600

・前週比-5%超で買付額1000

・前週比-10%超で買付額2000

・それ以外は買付額300

 

期間 元本 総資産 利益率 年平均 最大含損率 最大含損額
1990-2009 171,800 259,208 50.88% 2.08% -9.4% -7,781
1993-2012 172,400 264,155 53.22% 2.16% -22.4% -31,535
1996-2015 177,700 310,498 74.73% 2.83% -32.7% -40,449
1999-2018 177,200 348,032 96.41% 3.43% -36.7% -37,310
2002-2021 168,500 571,725 239.30% 6.30% -33.6% -24,030

 

リターンの改善効果はまちまち。

若干株高の恩恵を受け易くなったかもしれません。

しかしまたその逆も言えるので結局相場次第。

短期的な下落率だけで判断して積極的に買いを入れても巨視的な目で見た割安時を

うまく捉えられないようです。

 

参考までに1999-2018をグラフ化してみました。

 

 

 

平均線との乖離率に応じて買付金額を変える

 

いつものやつ。

同じ期間のデータを用いて以下のルールで買付を行います。

 

・乖離率が+5以上なら買付を行わない

・乖離率-10%超で買付額600

・乖離率-30%超で買付額1000

・乖離率-40%超で買付額2000

・それ以外は買付額300

 

期間 元本 総資産 利益率 年平均 最大含損率 最大含損額
1990-2009 137,000 313,191 128.61% 4.22% -10.2% -1,533
1993-2012 152,000 271,060 78.33% 2.93% -2.9% -559
1996-2015 127,700 232,472 82.05% 3.04% -16.0% -3,177
1999-2018 129,800 295,969 128.02% 4.21% -16.0% -3,177
2002-2021 130,700 555,994 325.40% 7.51% -16.0% -3,177

 

下3つのデータ含み損が一致しているという奇妙な結果になっていますが

これにはちゃんとした理由があります。

1996年初から、2002年9月まで乖離率が5を下回らないので、ずっと買付出来ない

まま、待機状態になっているのです。

つまり、3データとも買付開始時期は同じで、最大損失も同時期に記録したという

こと。

本格的に買いを入れるようになったのは2008年後半になってから。

1996-2015は実質7年程度しか運用してなくてこのリターン。

全体的に、株高時が長い所為で十分な買付が出来ていないので元本が少ないです。

その辺りが弱点ですが、他の運用と比べ利益率が高く含み損も少ない点が強み。

乖離率がマイナスの時にもっと積極的に買いを入れた方がいいかも。

 


グラフにするとこんな感じ。

 

総じて元本のチャートが奇怪。

 

1990-2009

 

1993-2012

 

まあ、そのお陰でヘッジが利いてるので良しとしましょう。

乖離率+30以上で相応に利確するなどすれば、もっと成績が上がるでしょう。

歴史的な暴落は乖離率+40以上で起きているので、買い持ちは無謀だと思います。

+20でも危険水準です。

 

以下、比較用

 

定額

期間       ドルコスト
元本 総資産 利益率 年平均
1990-2009 156,600 242,889 55.10% 2.22%
1993-2012 156,450 247,217 58.02% 2.31%
1996-2015 156,600 264,873 69.14% 2.66%
1999-2018 156,450 288,457 84.38% 3.11%
2002-2021 156,600 488,619 212.02% 5.85%

前週比下落率

期間 元本 総資産 利益率 年平均
1990-2009 171,800 259,208 50.88% 2.08%
1993-2012 172,400 264,155 53.22% 2.16%
1996-2015 177,700 310,498 74.73% 2.83%
1999-2018 177,200 348,032 96.41% 3.43%
2002-2021 168,500 571,725 239.30% 6.30%

平均線乖離率

期間 元本 総資産 利益率 年平均
1990-2009 137,000 313,191 128.61% 4.22%
1993-2012 152,000 271,060 78.33% 2.93%
1996-2015 127,700 232,472 82.05% 3.04%
1999-2018 129,800 295,969 128.02% 4.21%
2002-2021 130,700 555,994 325.40% 7.51%